2020年3月2日月曜日

末摘花と紅梅


紅の花=赤い鼻?


源氏物語の中には、笑いものにされている女性が三人います。
皆さんもご存知でしょうが、近江の君と末摘花、源典侍です。これらの女性の描き方には、紫式部のちょっと意地悪な面が(あるいは意地悪を装っている面が)のぞいているように思います。

近江の君は育ちの悪さを、源典侍はその好色ぶりを、末摘花はその古風さと容貌の異様さ(鼻が長くて先が赤い)とが笑いものになっています。

末摘花の元を訪れて、自宅に戻った源氏の君は、かわいらしく美しい若紫を見て、二人の容貌のあまりの違いに、複雑な気持ちになります。

自分の鼻の先に赤く紅を塗って若紫に見せて、「こんな顔になったらどうする?」と言って戯れたりもしています。




庭の紅梅が咲き初めたのを見ても、末摘花の鼻を思い出してしまうのでした。

日の、いとうららかなるに、いつしかと霞わたれる梢どもの、心もとなきなかにも、梅はけしきばみほほゑみわたれる、とりわきて見ゆ。階隠のもとの紅梅、いと疾く咲く花にて、色づきにけり。「紅の花ぞあやなくうとまるる 梅の立ち枝はなつかしけれど 、いでや」とあいなくうちうめかれたまふ。《末摘花の巻》 


「梅の高く伸びた枝には心惹かれるけれど、先に赤い花を付けているのを見ると、わけもなくいやになる」などと一人で呟いているのでした。




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