屏風岩の桜(昨春) |
光源氏の息子夕霧は、ある朝、たまたま、義母紫の上を垣間見る機会を得ました。
見通しあらはなる廂の御座にゐたまへる人、ものにまぎるべくもあらず、気高くきよらに、さちにほふここちして、春の曙の霞の間より、おもしろき樺桜の咲き乱れたるを見るここちす。
(野分の巻)
義母の姿を初めて見た夕霧は、その美しさに魂を奪われ、父が決して紫の上を自分と会わせてくれなかった理由を理解したのでした。
光源氏のほうは、女楽の夕べに紫の上の姿を覗き見て
紫の上は、・・・・・様体あらまほしく、あたりににほひ満ちたるここちして、花といはば桜にたとへても、なほものよりすぐれたるけはひことにものしたまふ。
(若菜下の巻)
と最高の花である桜に擬しつつも、それ以上の素晴らしさだと手放しで賞賛しています。
千本釈迦堂の枝垂れ桜(昨春) |
早咲きの河津桜はすでに散り果て、これから次々に、いろいろな種類の桜が咲きます。御所の枝垂れ、岡崎の早咲きの桜はもう咲いているかもしれない・・・・。あの桜もこの桜も・・・と気の急く日が続きます。雨はなるべく降らないでほしいもの。