真夏のある日、源氏は自宅六条院の、池に張り出した釣殿で息子夕霧と涼んでいます。そこに、夕霧のいとこたちがやってきました。源氏は西川(桂川)でとれた鮎や近くの川でとれた「いしぶし」(ハゼのような魚らしい)を食べ、来客たちにはお酒と氷水、水飯を出してもてなしています。
氷は冷蔵庫などなかったこの時代、半年間氷室で保管していたものを取り寄せるのですから、大変貴重なものです。
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氷水漬けのごはん |
いと暑き日、東の釣殿に出でたまひて涼みたまふ。中将の君(夕霧)もさぶらひたまふ。親しき殿上人あまたさぶらひて、西川よりたてまつれる鮎、近き川のいしぶしやうのもの、御前にて調じて参らす。例の大殿の君達、中将の御あたり尋ねて参りたまへり。「さうざうしくねぶたかりつる、をりよくものしたまへるかな」とて、大御酒参り、氷水召して、水飯など、とりどりにさうどきつつ食ふ。
風はいとよく吹けども、日のどかに曇りなき空の西日になるほど、蝉の声などもいと苦しげに聞こゆれば、「水の上無徳なる今日の暑かはしさかな。無礼の罪はゆるされなむや」とて寄り臥したまへり。「いとかかるころは、遊びなどもすさまじく、さすがに暮らしがたきこそ苦しけれ。宮仕へする若き人々堪へがたからむな。帯紐解かぬほどよ。・・・・」(常夏の巻)
源氏は太政大臣の位にあるとはいえ、滅多に出仕することもないので、今で言えば、ネクタイと無縁になっているため、若者たちが、帯紐締めたまま、つまり、ネクタイをしめたままなのを「さぞかし暑かろう」と同情し、自分は暑くてたまらないと横になっています。
今日のお昼は、源氏のまねをして鮎の塩焼きと氷水漬けのご飯にしてみました。今のごはんと当時のごはんは違いますが・・・・・。
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