2018年4月16日月曜日

筍をかじる薫




朱雀院は、その幸福を願って、最愛の娘を、光源氏に託したのですが、源氏は女三宮をさほど愛してはくれませんでした。

更には、女三宮自身が、柏木青年との密通事件を起こしたこともあって、彼女は出家を決意、父朱雀院は涙ながらにそれを認めたのでした。

出家した女三宮の元に、父朱雀院から、心尽くしの山芋と筍が届きました。



その筍を見つけて、薫(女三宮の密通事件の結果生まれた)が、寄ってきます。源氏にとっては名目上の孫です。

(薫は)わづかにあゆみなどしたまふほどなり。この筍の罍子に、何とも知らず立ち寄りて、いとあわたたしう取り散らかして、食ひかなぐりなどしたまへば、(源氏)「あならうがはしや。いと不便なり。かれ取り隠せ。食物に目とどめたまふと、もの言ひさがなき女房もこそ言ひなせ」とて笑ひたまふ。 

朱雀院から届いた筍は茹でたものだったのでしょうか


源氏は自分の子ではないと知りつつも、この幼子に愛情を抱いており、ここでも、抱き上げて話しかけています。
筍を隠せと言いましたが、薫は筍を握ったまま抱かれています。

御歯の生ひ出づるに食ひあてむとて、筍をつと握り持ちて、雫もよよと食ひ濡らしたまへば、「いとねぢけたる色好みかな」とて 憂き節も忘れずながら くれ竹のこは捨てがたきものにぞありける と、ゐて放ちてのたまひかくれど、うち笑ひて、何とも思ひたらず、いとそそかしう、這ひおり騒ぎたまふ。(横笛の巻) 



王朝時代の人々にとって、春の筍や蕨は貴重な食べ物だったのではないでしょうか。

蕨は宇治十帖の中で、二度、山の阿闍梨から、山荘にすむ姫君に送られたことが書かれています。








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