荻(おぎ)と萩(はぎ)の違いははっきりしていますが、荻(おぎ)と薄(すすき)の違いがわからず、ずっと悩んでいました。源氏物語には両方とも登場します。
薄は「ひとむら薄」と出てくる場合が多く、荻はなにかを結わえ付けていたりします。
ススキは風にそよぎ、オギはその上を風が吹きすぎてゆくといった表現が多いようです。
最近、やっと、ススキとオギのみわけが付くようになりました。(なったつもりです。写真 間違っていたらごめんなさい)
白く蓬けると違いが良くわかります。オギは猫の毛みたいにフワフワしていて、ススキはちょっとちくっとします。オギのほうが毛が長いのです。あとは生え方が違います。一塊になって生えるのはススキ、列になって生えるのがオギです。
源氏物語には、軒端の荻という女性が登場します。これは、光源氏が、空蝉という人妻と契るべく忍び込んだ寝室に寝ていた娘。源氏の君は、人違いと知りながら、ちゃっかりその若い娘と一夜を過ごします。その後は知らん顔でやりすごしたのですが、新しく男を通わすようになったと聞いて、文を送ります。
ほのかにも軒端の荻をむすばずは露のかことをなににかけまし
(軒端の荻は)心憂しと思へど、かくおぼしいでたるもさすがにて、御返り、口ときばかりをかことにて取らす。
ほのめかす風につけても下荻のなかばは霜にむすぼほれつつ《夕顔の巻》
源氏の歌は、「あなたとは一夜の契りを結んだ仲だから、他の男を通わすことに、ちょっと怨み言を言う資格がありますよ。」といった意味です。「荻を結ぶ」とは契りをかわすことを意味しています。軒端の荻は、源氏から何の音沙汰もないことを辛く思っていたので、思い出してもらえたことを喜んですぐにお返事しています。
ススキは株になって生えますが、オギは横に並びます |
もうひとつ、荻の登場する場面をご紹介しましょう。源氏の君が野分の後で六条院の女君たちを見舞って回る所です。明石の君の住む区画を訪問してみると、明石の君は琴を弾いています。源氏の君の訪れに気づいた明石の君は素早く衣裳を整えてお迎えしますが、源氏の君は風見舞いの挨拶だけをして、ちょっと腰かけただけで帰ってしまいました。
端のかたについゐたまひて、風の騒ぎばかりをとぶらひたまひて、つれなく帰りたまふ、心やましげなり。
おほかたに荻の葉過ぐる風の音も憂き身ひとつにしむここちして
とひとりごちけり。《野分の巻》
もうすこしゆっくりしていって頂きたかったのに、荻の葉を過ぎる風のように私のところを過ぎて行かれた、という明石の君の満たされない思いがせつなく感じられます。
<<予告>>朗読会 第二弾 日程決定!
【声と響き 木霊する源氏物語】Vol.2
朗読 岸本久美子 唄 上野洋子
【日時】 2019年4月21日(日)14:00 開演
【会場】 京都堀川音楽高等学校 音楽ホール
詳しくは後ほどお知らせいたします。
【声と響き 木霊する源氏物語】Vol.2
朗読 岸本久美子 唄 上野洋子
【日時】 2019年4月21日(日)14:00 開演
【会場】 京都堀川音楽高等学校 音楽ホール
詳しくは後ほどお知らせいたします。
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