2017.5.15御所 |
源氏物語の中では、まだ少女だった紫の上が、光源氏に連れられて、この祭りを見に行くことが書かれています。
今も大変な見物人で一杯ですが、昔も京人はこぞって見物に出かけたようで、光源氏が紫の上を伴って出かけたところ、見物席は一杯で牛車をとめるところもありませんでした。そこに源の内侍という色好みで有名な女房がいて、自分の場所を源氏にゆずってくれました。「あうひ」--なのにあなたとは会えないのねという嫌味の歌を添えて。
牛車に乗っている女性は、どうせ外からは見えないのですが、それでもお洒落してでかけます。この日も、源氏は紫の上の髪を手ずから切って整えてから出かけています。
今日は、二条の院に離れおはして、祭り見に出でたまふ。西の対にわたりたまひて、惟光に車のこと仰せたり。(略)「君はいざたまへ。もろともに見むよ」とて、御髪の常よりもきよらに見ゆるを、かきなでたまひて、「久しうそぎたまはざめるを、今日はよき日ならむかし」とて(略)「君の御髪は、われそがむ」とて(略)そぎ果てて、「千尋」と祝ひきこえたまふを、少納言(乳母)あはれにかたじけなしと見たてまつる。
そして出かけてみると2017.5.14撮影フタバアオイ |
今日も、所もなくたちにけり。馬場の大殿のほどに(牛車を)立てわづらひて、上達部の車ども多くて、もの騒がしげなるわたりかなと、やすらひたまふに、よろしき女車の、いたう乗りこぼれたるより、扇をさし出でて、人を招き寄せて、「ここにやは立たせたまはぬ。所避りきこえむ」と聞こえたり。(葵の巻)
フタバアオイの花2017.5.14.撮影 |
行列の人々は、冠に葵と桂の葉をつけることになっていたようです。今の行列では冠や牛車に葵の葉をつけています。今年の葵祭は晴天に恵まれて、外国人観光客も多く、賑わっていました。祭儀というよりは、祭りという空気でしたね。ともあれ、千年前からの祭りごとがいまなお引き継がれているのはすごい事と思います。
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