女房など物見に皆出でて、人少なにのどやかなれば、(女二宮は)うちながめて、筝の琴なつかしく弾きまさぐりておはするけはひも、さすがにあてになまめかしけれど、同じくは今ひと際及ばざりける宿世よと、なほおぼゆ。
(柏木)もろかづら落葉を何にひろひけむ 名はむつましきかざしなれども
と書きすさびゐたる、いとなめげなるしりうごとなりかし。(若葉下の巻)
語り手も「なぜ落葉を拾ったのだろうなんて、随分失礼な愚痴だこと」とコメントしています。同じ皇女である女二宮が、女三宮と比べて、その高貴さや優雅さにおいて、劣っていたとは思えないのですが、人間は「思い込んだら百年目」みたいなところがあるのでしょうか。
この後、結局、柏木は女三宮との密通へと走ってしまうのでした。
さて、もう一人の「落葉」は近江の君です。内大臣(昔の頭中将)が、探し出して引き取った娘です。源氏がどこかから探し出して引き取った娘が、大変な美人で、評判になっていると知って、内大臣は、我も負けじとばかりに手を尽くして、娘を探し出して引き取りました。ところが、その娘はとんでもない山出しで、無邪気ながら、はしたない言動で一家の悩みの種になります。
もともと、内大臣には大切に手元で育てた娘、雲居の雁がありました。息子夕霧と、その雲居の雁との結婚を認めようとしない内大臣に対する嫌味を込めて、源氏は、夕霧に「同じ姉妹なのだから、内大臣家の嫌われ者のその娘と結婚したらいいじゃないか」と言います。
「朝臣(夕霧)や、さやうの落葉をだに拾へ。人わろき名の後の世に残らむよりは、おなじかざしにてなぐさめなむに、なでふことかあらむ」と弄じたまへるやうなり。かやうのことにてぞ、うはべはいとよき御仲の、昔よりさすがに隙ありける、まいて中将(夕霧)をいたくはしたなめて、わびさせたまふつらさをおぼしあまりて、なまねたしとも漏り聞きたまへとおぼすなりけり。(常夏の巻)
この言葉は、夕霧の所に遊びに来ていた、内大臣の息子たちのいる所で、夕霧に向かって投げられたものです。「内大臣の耳に入って口惜しがったらちょうどいい」と源氏は思ったのでした。
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<朗読会>声と響き 木霊する源氏物語 |
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