2017年7月14日金曜日

祇園祭に源氏物語のかけらを探す

2017.7.13撮影
「京都の夏は祇園祭が連れて来て、送り火が連れて行く」と言われますが、今年も鉾立てが始まった7月10日から、京都は本格的な真夏となりました。
 
 祇園祭(古くは祇園御霊会)の歴史は古く、平安時代869年に始まったと言います。始めは単なる神事であったものが次第に町衆の祭りとなって、南北朝時代頃にはけっこう華やかな祭に発展していたそうです。その後、応仁の乱や引き続く戦、最近では第二次世界大戦などで長い中止もありながら、最近は新たに復興した山鉾もあって、豪華な町衆の祭りとなりました。
 ところで私は祇園祭りが大好き。
 釘は一本も使わずに縄で結び締めるだけで組み立てられる山鉾、その縄目の美しい事!

山鉾下部の縄締め 
放下鉾
周囲が豪華で美しい掛け布で覆われると縄目は見えなくなりますが、その胴掛けや見送りや前掛けも、それぞれに違う時代や国のもので、みていて飽きない。
源氏物語には祇園会は登場しません。けれどもどこかに繋がりはないかと探しました。
 若干牽強付会の誹りは免れませんが、山鉾の屋形の軒などにに下がっている飾り紐、総角結びの紐がありました!

 結ぶという行為には特別なものがあるように思います。そこになにかを結びこめる、魂を、祈りを・・・・・。
菊水鉾
源氏物語にはその名も「総角」の巻があります。宇治十帖です。

  亡くなった父八の宮の法事に備えて、娘二人が総角結びなどの飾り紐を組んでいる所に薫が訪れます。


 御願文つくり、経仏供養ぜらるべき心ばへなど書き出でたまへる硯のついでに、客人(薫のこと)
        あげまきに長き契りをむすびこめ
             おなじ所によりもあはなむ
と書きて見せたてまつりたまへれば、例の、と、うるさけれど、
        ぬきもあへずもろき涙の玉の緒に
             長き契りをいかがむすばむ
とあれば、「あはずは何を」と、うらめしげにながめたまふ。(総角の巻)



蟷螂山


  姉妹の手にしている総角にことよせて、不器用な薫が姉君に思いを伝えます。「総角結びの中に長い契りを結び籠めて、生涯を共にしたいものです」といった意味ですが、姉君は「悲しみの涙にくれて、いつ死ぬかもわからない私に長い契りなど結べるはずもありません」とすげなく答えます。
 総角の組みひものように、姉君と結び合いたいという薫の願いは結局叶えられることはありませんでした。






0 件のコメント:

コメントを投稿