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萩の露 |
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常林寺の萩9月5日 |
秋待ちつけて、世の中すこしすずしくなりては、御ここちもいささかさはやぐやうなれど、なほともすればかことがまし。(略)
風すごく吹き出でたる夕暮に、(紫の上が)前栽見たまふとて、脇息によりゐたまへるを、院(源氏)わたりて見たてまつりたまひて、「今日は、いとよく起きゐたまへるめるは。この御前(娘の明石中宮の前)にては、こよなく御心もはればれしげなめりかし」と聞こえたまふ。かばかりの隙あるをも、いとうれしと思ひきこえたまへる御けしきを見たまふも、心苦しく、つひにいかにおぼし騒がむ、と思ふに、あはれなれば、おくと見るほどぞはかなきともすれば 風に乱るる萩のうは露
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暑かったこの夏もやっと終わり、少し涼しくなって萩の花も咲き始めました。
紫の上は夏の暑さが苦手で、ずっと体調を崩して寝込んでいたのですが、秋風が立って起き上がれる日もあるようになりました。この日は育ての娘明石中宮が見舞ってくれて、紫の上と二人で語り合っていました。そこに源氏の君がやって来て、「今日は元気そうだね!」と喜ぶのですが、紫の上は自分の体調がそんなに良くはないことを知っていて、「起きているからといっても、萩に置く露とおなじくはかない私の命ですよ」と源氏に語り掛けます。そして、この少しあと、に本当に紫の上の命の火は消えてしまうのです。
御几帳引き寄せて臥したまへるさまの、常よりもいとたのもしげなく見えたまへば、いかにおぼさるるにか、とて、宮は、御手をとらへたてまつりて、泣く泣く見たてまつりたまふに、まことに消えゆく露のここちして、限りに見えたまへば、御誦経の使ひども、数も知らず立ち騒ぎたり。さきざきも、かくて生き出でたまふをりにならひたまひて、御もののけと疑ひたまひて、夜一夜さまざまのことをし尽くさせたまへど、かひもなく、明け果つるほどに消え果てたまひぬ。(御法の巻)
引用が長くなりましたが、私は、この、紫の上の臨終の場面を、萩の花を見る度に思い出します。
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